「国のために死ねるか」自衛隊特殊部隊創設者の思想と行動(伊藤祐靖著) [書籍紹介]
「国のために死ねるか」(伊藤祐靖著)読了。
重いテーマではあるが、まるで映画を見るようなイージス艦「みょうこう」の海上警備行動に至るシーンから始まるこの本、一気に読みきりました。第三章、「戦いの本質」に登場するミンダナオ島の謎の?女性ラレインとの出逢いがなければ伊藤氏の現在はないかと思わせる下りは圧巻…まさに個人としての闘いのスキルとはこれなんだ、日本とは守るに値する国なのか?と突きつけられる。
著者のあとがきには末尾にこう書かれている。
「私は、元特殊部隊隊員であり、現在も未来も特殊戦の世界で生きていく。しかし、この本は、特殊部隊隊員でも自衛官でもない、ごく一般的な日本人に向けて書いたものである。」
わずか255ページの薄っぺらい文庫本ではあるが、今の日本人が失った大事なものを思い出させてくれる好著である。
おそらく伊藤氏が創設された部隊の任務の特性上、このように一般の目に触れる書物にすることには躊躇があったに違いないと推察するが、あえて世に問う決断をされたことに心から敬意を表したい。
今も黙々と訓練に精励する海自、陸自の精鋭たちにとってそれは励みになると信じたい。存在をひたすら隠すことは必ずしも抑止力につながらない。むしろその逆である。
私自身気になっていた特別警備隊における死亡事故についても巻末にあえて触れられている。
その1年半前まで指導に当たっていた者としての無念さが伝わって来て胸が熱くなった。
実戦ならまだしも、やはり訓練で隊員を失うことはあってはならないのだ。
ネット上から伊藤氏の現職当時の写真
国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 (文春新書) (文春新書 1069)
- 作者: 伊藤祐靖
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/07/21
- メディア: 新書
2016-07-26 06:20
nice!(1)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0