国難における軍事組織の価値とは [東日本大震災]
★大震災から1ヶ月、宮城県庁で黙祷する自衛隊員たち(読売新聞4月11日夕刊)
東日本大震災から1ヶ月が経ちました。直接被災していない私たちにとりましても、とても長く重々しい1ヶ月だったように思います。しかし時間の経過にも関わらず被害の全貌はいまだ明らかになっておりません。未収容のご遺体もまだ1万人以上… まだまだ被災者のご労苦は続いております。
福島原発もまだまだ先が見えません。
現地で活動する様々な組織、そしてボランティアの方々も本当にお疲れさまです。
★棺の花に手を添える自衛隊員(朝日新聞4月9日夕刊)
本日、札幌は久々に暖かい春の陽気。所用で真駒内駐屯地を訪れますと、本当に静かで、新隊員たちの基本教練の声だけが響いておりました。この駐屯地からも多くの隊員たちが被災地に赴いているんだなあと実感がいたしました。
ある指揮官とお話しすることが出来ましたが、やはり現地で活動にあたる隊員たちの疲労も相当にあると言うことで交代の要領について慎重に検討していると言うことでした。それは遺体収容に伴う隊員個々の心の痛みと言えるのかも知れません。隊員たちにも家族があります。自分の家族に置き換えてみるととても他人事と思えない状況なのでしょう。
今回の震災では子供たちも数多く命を落としました。同じ年頃の子供たちを持つ隊員も多いのです。我が子を捜すつもりで皆探しているんだと言う話も聞きました。
遺族にとっても捜索する隊員たちにとっても心身のストレスは想像以上のものがあることでしょう…
★小学校で泥の中から鍵盤ハーモニカを取り出す自衛隊員(朝日新聞4月9日夕刊)
★フジテレビ「とくダネ」
今回の震災に際する自衛隊の活動につきましては、マスコミ全般そして、被災された方々からは、感謝や評価する声が多いことは自衛隊OBとして、そして国民の一人としてとても誇りに思います。
今日も朝のフジテレビ「とくダネ」で小倉智昭氏が自衛隊の保有する機材、様々な能力について高く評価するコメントを述べておりました。
自衛隊という軍事組織は、基本的には侵略に対する防衛作戦行動を基準として日頃あらゆる訓練を積み上げておるわけでして、各種兵器や装備もその任務を達成するために保有しております。
特に兵站面(弾薬、燃料や食事等)においては他の支援を得ることなく活動できるように所謂「自己完結能力」を保有しております。他の組織にないその能力こそが、今回のように全くインフラの枯渇した被災地での活動にあたり、存分に発揮されていると言えます。これ(自己完結能力)は、警察・消防などの組織にはありません。それこそが軍事組織(国際的常識ではこれを「軍隊」(Army Navy AirForce)と呼称します。)が軍事組織たるゆえんと言えます。固有の能力と言えるでしょう。
今回の大震災においては、まず放射能に対する特殊武器防護能力やヘリコプター輸送能力が脚光を浴びました。そして今は、自衛隊の持つ兵站能力の中でも特にドーザ等の施設器材能力による道路整備が目に見えて被災地で進捗しており、また野外炊事車・給水車そして野外入浴セットなどが避難所で生活する被災者の皆さんに大変喜ばれておるように報道されております。
本来、自衛隊の行動の基準(基準の物差し)は有事(防衛作戦行動)にありますが、今回は敵の弾も飛んで来ないわけでありまして(敵の代わりに放射能はありますが…)、その意味では未曾有の大災害ではあるものの、まだまだ自衛隊の組織や隊員の活動のキャパシティの範疇に収まっているとも言えるのです。
このようなことを考えますと、やはり、自衛隊のように常在戦場の心構えを持って有事即応の体制を維持する自己完結型の組織が日本の国の中に厳然として存在することの意義と言うものを改めて強く感じる次第であります。
国難における「最後の砦」。それが自衛隊なのです。
★宮城県知事の村井嘉浩氏
余談ですが、被災自治体の長として大変なご苦労をされております宮城県知事の村井嘉浩氏は陸上自衛隊出身です。防衛大28期生、元陸上航空のヘリコプターパイロットであり、1等陸尉で中途退官された後に政治家への道を歩まれるという異色の経歴の方です。
プロフィールはこちらから http://www.pref.miyagi.jp/hisyo/hisyo_page_2.htm
テレビの番組の中で自民党の元防衛大臣、石破茂氏が「あなたは自衛隊出身でもあるし頑張って復興に当たって…」と激励しておられました。「ハイ」と石破氏の言葉に姿勢を正して応対した村井知事の一瞬の仕草に自衛隊OBらしい誠実さと礼儀正しさを視たのは私一人ではないでしょう。
激務大変かとは思いますが、「身を挺して職務の完遂に努める」自衛隊スピリットを発揮して頂きたいと心からのエールを送りたいと思います。
東日本大震災から1ヶ月が経ちました。直接被災していない私たちにとりましても、とても長く重々しい1ヶ月だったように思います。しかし時間の経過にも関わらず被害の全貌はいまだ明らかになっておりません。未収容のご遺体もまだ1万人以上… まだまだ被災者のご労苦は続いております。
福島原発もまだまだ先が見えません。
現地で活動する様々な組織、そしてボランティアの方々も本当にお疲れさまです。
★棺の花に手を添える自衛隊員(朝日新聞4月9日夕刊)
本日、札幌は久々に暖かい春の陽気。所用で真駒内駐屯地を訪れますと、本当に静かで、新隊員たちの基本教練の声だけが響いておりました。この駐屯地からも多くの隊員たちが被災地に赴いているんだなあと実感がいたしました。
ある指揮官とお話しすることが出来ましたが、やはり現地で活動にあたる隊員たちの疲労も相当にあると言うことで交代の要領について慎重に検討していると言うことでした。それは遺体収容に伴う隊員個々の心の痛みと言えるのかも知れません。隊員たちにも家族があります。自分の家族に置き換えてみるととても他人事と思えない状況なのでしょう。
今回の震災では子供たちも数多く命を落としました。同じ年頃の子供たちを持つ隊員も多いのです。我が子を捜すつもりで皆探しているんだと言う話も聞きました。
遺族にとっても捜索する隊員たちにとっても心身のストレスは想像以上のものがあることでしょう…
★小学校で泥の中から鍵盤ハーモニカを取り出す自衛隊員(朝日新聞4月9日夕刊)
★フジテレビ「とくダネ」
今回の震災に際する自衛隊の活動につきましては、マスコミ全般そして、被災された方々からは、感謝や評価する声が多いことは自衛隊OBとして、そして国民の一人としてとても誇りに思います。
今日も朝のフジテレビ「とくダネ」で小倉智昭氏が自衛隊の保有する機材、様々な能力について高く評価するコメントを述べておりました。
自衛隊という軍事組織は、基本的には侵略に対する防衛作戦行動を基準として日頃あらゆる訓練を積み上げておるわけでして、各種兵器や装備もその任務を達成するために保有しております。
特に兵站面(弾薬、燃料や食事等)においては他の支援を得ることなく活動できるように所謂「自己完結能力」を保有しております。他の組織にないその能力こそが、今回のように全くインフラの枯渇した被災地での活動にあたり、存分に発揮されていると言えます。これ(自己完結能力)は、警察・消防などの組織にはありません。それこそが軍事組織(国際的常識ではこれを「軍隊」(Army Navy AirForce)と呼称します。)が軍事組織たるゆえんと言えます。固有の能力と言えるでしょう。
今回の大震災においては、まず放射能に対する特殊武器防護能力やヘリコプター輸送能力が脚光を浴びました。そして今は、自衛隊の持つ兵站能力の中でも特にドーザ等の施設器材能力による道路整備が目に見えて被災地で進捗しており、また野外炊事車・給水車そして野外入浴セットなどが避難所で生活する被災者の皆さんに大変喜ばれておるように報道されております。
本来、自衛隊の行動の基準(基準の物差し)は有事(防衛作戦行動)にありますが、今回は敵の弾も飛んで来ないわけでありまして(敵の代わりに放射能はありますが…)、その意味では未曾有の大災害ではあるものの、まだまだ自衛隊の組織や隊員の活動のキャパシティの範疇に収まっているとも言えるのです。
このようなことを考えますと、やはり、自衛隊のように常在戦場の心構えを持って有事即応の体制を維持する自己完結型の組織が日本の国の中に厳然として存在することの意義と言うものを改めて強く感じる次第であります。
国難における「最後の砦」。それが自衛隊なのです。
★宮城県知事の村井嘉浩氏
余談ですが、被災自治体の長として大変なご苦労をされております宮城県知事の村井嘉浩氏は陸上自衛隊出身です。防衛大28期生、元陸上航空のヘリコプターパイロットであり、1等陸尉で中途退官された後に政治家への道を歩まれるという異色の経歴の方です。
プロフィールはこちらから http://www.pref.miyagi.jp/hisyo/hisyo_page_2.htm
テレビの番組の中で自民党の元防衛大臣、石破茂氏が「あなたは自衛隊出身でもあるし頑張って復興に当たって…」と激励しておられました。「ハイ」と石破氏の言葉に姿勢を正して応対した村井知事の一瞬の仕草に自衛隊OBらしい誠実さと礼儀正しさを視たのは私一人ではないでしょう。
激務大変かとは思いますが、「身を挺して職務の完遂に努める」自衛隊スピリットを発揮して頂きたいと心からのエールを送りたいと思います。
面白いほどよくわかる自衛隊―最新装備から防衛システムまで、本当の実力を検証! (学校で教えない教科書)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
自衛隊に誇りを―銀座に装甲車を入れた元陸将の「国防軍」改革案 (小学館文庫)
- 作者: 志方 俊之
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2001/02
- メディア: 文庫
2011-04-14 21:32
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