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防災と自衛隊 [東日本大震災]

 ★総合危機管理士の認定証(表)
総合危機管理士認定証370.jpg

 ★総合危機管理士の認定証(裏)
総合危機管理士認定証裏面370.jpg

 上記写真は、平成18年に私が陸上自衛官として現職最後の年に北部方面隊で受講し取得した「総合危機管理士」の資格です。
 わずか2ヶ月あまりの教育でありましたが、自衛隊を退職して、一般社会に出ても自衛隊で培った計画企画能力と実行力をベースに様々なレベルの危機管理(国家レベルから自治体、企業、学校など各組織)に対応できるような識能を付与する教育でした。「総合」という頭文字がつくのはそのためです。
 教育を修了し、その後自衛隊を定年退職した者の中から自治体の危機管理監や防災担当者に再就職してその手腕を発揮しております。自衛隊とのパイプ役としてはまさに適任でしょう。
 自治体の防災訓練などにおいても、自衛隊で行ってきた指揮所訓練(図上演習)のノウハウなどを発揮して活躍しているのです。今回東北各県の自治体にもおそらくそのようなOBたちが力になって自衛隊との密接な調整を行い円滑な災害救援に寄与したことは想像に難くありません。
 このように現在は、全国の多くの自治体の防災担当者として自衛隊OBたちが頑張っている事実はもっと国民にも知らされてよいと思います。
志方俊之370.jpg

 その先駆者と言えばやはり志方俊之氏(上記写真)でしょう。北部方面総監として1991年にビッグレスキュー'91を企画実行し自衛隊の大規模災害への能力を実際の演習を通じて検証したのです。BIG RESCUEと言うネーミングも絶妙でした。(下記写真)

 ★BIG RESCUE '91(緊急医療支援訓練)の模様
  まるでコッポラの映画「地獄の黙示録」を思わせるような
  シーンです。
ビッグレスキュー1.jpg

ビッグレスキュー4.jpg

ビッグレスキュー2.jpg

ビッグレスキュー5.jpg

 災害地で助けを求める人たち(これも演習の中で隊員が演じたのです)を救出すべく赤十字マークをつけたヘリコプターや戦車、装甲車が演習場狭しと走り回る様は全国に報道され、衛生科部隊を頂点とした巨大な兵站組織を構成など、私たち当時の現役隊員にとってもそれまでの一般的な演習とは一線を画する画期的な演習でした。 
 その後、ほどなく奥尻島の地震や阪神淡路大震災が立て続けに起き、ビッグレスキューを通じて得た貴重なノウハウが自衛隊の災害派遣活動において少なからず発揮されたのです。まさに先見の明とはこのことでありました。

 ★ビッグレスキュー'91から2年後に生起した南西沖地震
  津波と火災で被災した奥尻島青苗町 (下記写真)
奥尻島/津波と火災に370.jpg


 ★地震が起きた未明には真駒内駐屯地から医療チームがヘリ
  コプターで奥尻島へ出動
  まさにビッグレスキュー'91の再現シーンのよう
  (下記写真)
奥尻島へ医療部隊.jpg

 今にして思いますと、当時異様と思われた写真の情景そのものが、全く違和感もなくあの東北エリアにおいても展開されたのです。人々の命を助けるために。

 志方氏は、その後退官され、軍事アナリストや帝京大学教授として活躍の一方で東京都の参与(副知事・防災担当)として石原都知事のもとでビッグレスキュー2000などを企画され自衛隊を大規模に巻き込んだ首都防災訓練を断行されました。
 銀座に装甲車が走り地下鉄に迷彩服が溢れる様は一部の市民団体から「治安出動訓練だ」などと反対活動の標的とされ、また何と「防災に名を借りた軍事演習」と揶揄する大手A新聞もあったのです。それは、単なる主義主張の違いで片付けられない国民の生命財産を守る観点の欠如した穿った見方でありました。
 今回の東日本大震災における自衛隊や米軍の献身的活動を彼らが今どう評価しているのか聞いてみたいものですね。

 ★下記写真は東京都防災訓練「ビッグレスキュー2000」関連
  地下鉄車内に迷彩服の隊員が!
地下鉄に隊員370.jpg

  銀座の目抜き通りに装甲車が!
銀座装甲車370.jpg


 10万名を超す自衛隊員が派遣されて被災地支援に当たっております今回の東日本大震災ですが、今度は、首都直下型や東南海地震がいつ起きてもおかしくない活動期に入ったと識者間で言われ始めております。
 その時に自己完結能力をもって即、組織的な現地の救命救援にあたるのは自衛隊をおいて他にないことは、今回の東日本大震災を通じて証明され国民も十分に理解できたのではないでしょうか。
 首都圏でもし起きますと国の中枢も人とインフラが間違いなく甚大な被害を受けるでしょう。それは今回の被害規模とオーダーが桁違いとなることを意味します。指揮系統も混乱の極みとなることが予想されます。
 首都直撃の災害発生とともに、国民の命を預かる国のリーダーやスタッフたちは今回以上の過酷な状況の中で様々な究極の決断を迫られることになるのです。情報も途絶するでしょう。国民もまずは自らの判断で行動することが求められると思います。
 「最悪に備えよ」それが国家レベルから卑近の家庭レベルまで危機管理の要訣であることを忘れてはなりません…



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