「頼もしいぞニッポン自衛隊!」徳間書店から発売 [書籍紹介]
「強いぞ自衛隊シリーズ」を刊行中の徳間書店から今回の東日本大震災で人命救助や復興支援に当たった自衛隊に密着した写真記事の大特集雑誌がこのたび店頭に並び早速購入してみました。
(上記写真)
サブタイトルに「全国民感動・日本人として誇りにしたい!~自衛隊の勇気と資質」とあります。その様な視点にフォーカスしつつ、米軍とのトモダチ作戦も含めて自衛隊の活動の全貌が写真やイラスト図解とともに小気味よい現地レポートや識者のインタビューや寄稿文で綴られております。
特に記事中の印象に残った部分について紹介しましょう。
古是三春氏は中国関係者の話を紹介しております。曰く「普天間問題で日米同盟関係は相当に悪化していたと見ていたが、尖閣諸島における中国漁船衝突事件時の米国の明確な意思表示と同様に、今回あらためて日米同盟関係の強固な基盤を見せつけられた。」また中国における四川大地震のときの現場の混乱について、中国軍関係者の言葉として「被災者を武器で威嚇して初めて秩序回復できたのに忍耐と規律で秩序を乱さない被災地の日本人とそれに対応した自衛隊や警察、米軍による救援活動に舌を巻いた。」
佐藤優氏(上記写真)は、「なぜ自衛隊員は国民のために命を捧げられるのか」と言うテーマに対して「多くの人々の生命を救うために誰かが命がけで職務を遂行しなくてはならない。こういう無限責任を負う職業が存在するのである。徴兵制度がない日本においては国民全体が有事に際して負うべき無限責任を自衛官が集中的に負っているのである。」として、自衛官だけに負担を強いる現在の日本のシステムはおかしいと提言されています。
そして我が元北部方面総監であられた志方俊之氏(上記写真)は、「10万人という大勢力を投入したが、実は全力投入ではなく侵略に備え重要な部隊は動かしていない。」と述べておられます。この点はあまりマスコミでも取り上げていない点でしょう。
また、若き小隊長時代の1959年に伊勢湾台風に際して災害派遣に参加した思い出を「疲れたなんて言うと旧軍出身の中隊長から『そんなことで将校が務まるか!』と怒られた」と懐古されております。しかし今も昔も変わらないのは「我々以外に出来る者はいない」という隊員たちの使命感であると。
私もブログで何度か取り上げたことのあります災害対処医療訓練「ビッグレスキュー91」への言及もありました。その訓練の実施は志方氏の小隊長時代の多数のご遺体を見た伊勢湾台風が原体験としてあったからこそ行ったのだと吐露されておられます。あの演習から20年経ちますが、私はこの記事により初めてその事実を知りました。
今回の東日本大震災での自衛隊の活動ぶりは、一般市民的には、「自衛隊さんが今回の災害派遣でえらい頑張ってくれたね」ということなんですが、この雑誌を通読しますと軍事技術的に見て、今回の東日本大震災に対する自衛隊の即応状況が、如何に被災地に迅速且つ効率的に戦力投入できるかという、まさにオペレーション(作戦)であったことが分かるでしょう。
この「頼もしいぞニッポン自衛隊!」
表紙から受ける印象はまるでパチンコパーラーの看板のよう。(徳間さんには失礼ですが)
一見、際もの的なイメージを受けますが、実は内容は濃く、単なる人命救助や災害派遣活動の表面的紹介でなく、グローバルで戦略的(安全保障)見地からの考察もなされていて、かつ自衛隊の隊員たちの資質にまで踏み込むという部隊組織としての精強度の本質に迫る相当に油っこいものを含んでおると言える代物なのであります。
日本円で税込み630円、これは50元であり210ルーブル(いずれも6月3日付レート)の安価本であります。自衛隊に関する各種の情報が整理精査されてこの価格。
もし私が某国大使館付の駐在武官・情報将校であったとしたら、即2冊買って1冊は自分用に、1冊は情報資料として本国に送りますね。
そんなものが一般店頭に並んでいいのかと心配の方もおられるかも知れませんが、心配はご無用でしょう。
精強な軍隊に関しての適正に評価された情報は、今度は抑止力としての効果をもたらすからです。
週刊アサヒ芸能増刊 頼もしいぞ ニッポン自衛隊 2011年 6/10号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/05/23
- メディア: 雑誌
ホントに強いぞ自衛隊!―中国人民解放軍との戦争に勝てる50の理由
- 作者: 加藤 健二郎
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
Strike And Tactical (ストライク・アンド・タクティカルマガジン) 2009年9月号別冊 戦後の日本 2009年 09月号 [雑誌]
- 作者: 古是三春
- 出版社/メーカー: カマド
- 発売日: 2009/08/27
- メディア: 雑誌
面白いほどよくわかる自衛隊―最新装備から防衛システムまで、本当の実力を検証! (学校で教えない教科書)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 2004/03
- メディア: 単行本
2011-06-03 18:37
nice!(1)
コメント(2)
トラックバック(0)
ご無沙汰してます! その節は、ありがとうございました。
今回の災害出動については、志方先生のアドヴァイスもその都度いただきながら、おっしゃる通り軍事的オペレーションの在り方として取材・考察させていただきました。そのあたりを読み取っていただき、うれしい限りです。
また、旭川から出動されたベテラン陸曹の方をはじめ、何人かの自衛官が過酷な任務に関連したと思われる理由で亡くなられたということは、忘れてはなりません。
執筆者のひとりとして、こうした機会に何とか本当の自衛隊の姿を内外に伝えたいという思いで取り組みました。ご紹介ありがとうございました。
また北海道でお会いしたいですね!
by 古是三春 (2011-06-06 12:57)
いやー本当にお久しぶりです! ブログチェックして頂き誠に光栄です。なにげに購入した雑誌にフルゼ氏のお名前があり、勝手ながら早速冒頭に紹介させて頂きました。
メールしなければと思っておったところでした。
また是非お目にかかりたいものです。
by HAJIMEVISION (2011-06-07 00:37)