山崎豊子さんの遺稿「約束の海」遂に出版 [書籍紹介]
山崎豊子さんが亡くなられて早や5ヶ月。遺稿となった「約束の海」が2月20日新潮社から遂に出版されました。
自衛官を主人公に真珠湾に特殊潜航艇で突入したその父との絆や「戦争をしないための軍隊、自衛隊」を描くと言うこともあり、私は高い関心を持って、昨年8月下旬に週刊新潮連載が始まって以来、大変楽しみに毎号読んでおりました。そして、連載開始後約1ヶ月の9月下旬の山崎豊子さんの死去の報には本当に驚きました。
しかし、第1部の「約束の海」は20回分が既に入稿されていたということで、この1月中旬まで週刊新潮の連載が続いておりました。
私は、山崎さんに敬意を表する意味でも掲載された総ての号を買い求めたのでした。買い漏らしたものはインターネットオークションで探しました。
★掲載開始の2013年8月19日秋風月増大号(左上)から掲載完了の2014年1月16日迎春特大号(右下まで)
★掲載号20回分の「約束の海」それぞれのタイトル冒頭ページ
日本の防衛や安全保障そして、自衛隊そのものの存在にも筆を振るう壮大なテーマのこのシリーズは作者の死に直面したことで、突然の中断を余儀なくされたのです。
しかし、今回出版された本の巻末には、山崎さんが亡くなる直前まで推敲を重ねた構想(シノプシス)が18ページに渡り掲載されております。
第1部「約束の海」は若き海上自衛官、花巻朔太郎が乗り組んだ潜水艦と釣り船との衝突事件が中心に描かれますが、その後の第2部「ハワイ編」では、朔太郎の米海軍研修や第1号の捕虜となった海軍士官の父の足跡を、そして第3部「千年の海編」ではまさに現在進行中の東シナ海の緊迫した状況、日本の中で「戦争をしない軍隊」として存在して来た自衛隊について描く予定であったことが伺えます。
私は、死去の報に接したときから、おそらく全体構想はあっての「約束の海」の入稿であったと確信しておりましたので、やはりそのようなものが存在したのだなあと思いました。最後の第3部こそまさに山崎さんが描きたかったテーマに違いありません。
これだけの構想(あらすじ)が示されておる訳ですから、小説の完成は別として、映画のシナリオとしては十分過ぎるくらいの骨格が固まっておるように思います。これまで山崎作品はほとんど映画化更にはテレビドラマ化されております。あの悲惨なる日航ジャンボ機墜落事件を描いた「沈まぬ太陽」でさえも艱難辛苦を乗り越えて映画化されたのだと聞きます。
是非とも「約束の海」シリーズの映画化を心より願いたいと思います。
読者といたしましては、「山崎プロジェクト」のスタッフの皆さんの今後のご尽力を切に期待するものです。
2014-02-22 15:42
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